令和初の国政選挙となる参院選が、4日に公示される。日刊スポーツは、選挙戦をめぐるさまざまな動きを「令和元年 夏の陣」と題し、日々お伝えする。

通常国会終盤に「老後2000万円問題」が表面化。選挙戦はこの問題で野党が攻め、自民党が守る構図が予想されるが、ここにきて安倍晋三首相のG20での「失言」が参院選に暗い影を落とし始めた。

首相は、各国首脳を招いた夕食会のあいさつで、大阪城の復元を紹介した際、エレベーターが設置されたことを「1つだけ大きなミスを犯した」と指摘。しかし障がいがある人や高齢者への配慮に欠く発言で、作家の乙武洋匡氏はツイッターで「とっても悲しい気持ちになる」と指摘。インターネット上でも批判が広がっている。

自民党は今年5月、参院選を視野に「失言防止マニュアル」を発表したばかりだが、首相からまさかの問題発言。関係者は「笑いを取ろうとしたのなら最悪だ。首脳からも反応はなかったと聞く。首相は選挙前に発言の意図を説明しなければならない」と指摘した。

野党側は攻勢を強める。立憲民主党の枝野幸男代表は6月30日、党会合や街頭演説で「ミスだというセンスと感覚は、まったく理解できない。今のご時世で、バリアフリーは当たり前。体が不自由な人たちにちゃんと目を向けていない表れだ」と批判。「困っている人の立場で社会を組み立てることで、みんなが幸せになる。多様性、違いを力にする社会にしなければならない」とも話した。国民民主党の玉木雄一郎代表も、盛岡市で「不適切だ。来年の東京五輪・パラリンピックを控え、言葉を選ぶべきだった」と指摘。「エレベーター発言」の選挙戦への影響は避けられない。