「ポスト安倍」の面々が、参院選の応援で全国を回っている。安倍晋三首相が3日、21年の総裁選4選出馬に否定的な認識を表明。22年の次の参院選は新たな「党の顔」が最前線に立つ可能性もあり、候補たちの応援は次を見据えた「顔見せ行脚」にもなっている。

首相に「令和の時代は岸田さん」と言われた岸田文雄正調会長は公示後、応援がないのは1日だけ。安倍政権の実績を強調し「優等生の演説」(関係者)といわれる。一方で、街頭では昨年の党総裁選不出馬を聴衆に指摘され、とっさに「ご激励をいただいた」と、かわす場面もあった。

岸田氏と対照的なのは、総裁選で首相に敗れた石破茂元幹事長。話題豊富な人気弁士だが、参院選序盤は応援日程がない日も。総裁選で支持を受けた候補者の地元では、演説の中で「自民党の中の議論がなくてどうする」と主張。自身の出馬で総裁選が実現したと胸を張り、拍手を浴びた。

「令和おじさん」で人気の菅義偉官房長官は、危機管理の要ながら官邸を留守にすることに批判もあるが、18日は愛媛、千葉を激走。小泉進次郎厚労部会長も休みは1日だけで、この日は漁船に乗り、激戦区・山形の離島を訪れた。「ポスト安倍」たちには、自民党底上げへの「応援力」も試されている。【中山知子】