京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで34人が死亡した放火殺人事件で、事件当日の18日に全身にやけどを負った青葉真司容疑者(41)が意識を取り戻したことが26日、捜査関係者への取材で分かった。ただ、目は開けたものの自ら動くことができる状態ではなく逮捕のメドは立たないという。同日、同容疑者のさいたま市内の自宅に京都府警の捜査員が入り、大型スピーカーなどを押収した。

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京都アニメーションにガソリンをまいて火を付け、34人の尊い命を奪う凶行に及び、自らも全身にやけどを負った青葉容疑者が、26日までに目を開けた。捜査関係者は、日刊スポーツの取材に「目を開けた状態。でも、しゃべって受け応えできたり、食事ができる状態ではない」と説明した。

青葉容疑者は、事件当日に京都府警に身柄を確保された後、京都市内の病院で治療を受けたが、重篤でより高度な治療が必要となり、20日に大阪府内の病院へドクターヘリで移送された。発生から1週間が経過し、ようやく意識を取り戻したが、捜査関係者は「意識不明の状態から脱したものの、状態が重篤なことに変わりはなく、生死に関わる可能性はある。逮捕は大分、先になるだろう」との見通しを示した。

青葉容疑者は、身柄を確保された段階で「小説を盗んだから放火した」などと、京アニへの怨恨(えんこん)をにおわせる話をしていた。ただ過去、在籍した経歴はなく、動機はいまだ謎に包まれたままだ。

京都府警は25日、死因不詳の1人を除く33人に対する殺人と現住建造物等放火などの疑いで青葉容疑者の逮捕状を取り直した。26日には同容疑者の自宅から円筒形の大型スピーカーなどを押収も、肝心な取り調べがいつできるか見通しが立たない状況だ。関係者は「今後、話ができるようになったとしても、体が動いて対応できるのかと…。めどが付かない」と苦悩をにじませた。