札幌市内で3日に出没し、同市南区の藤野、簾舞(みすまい)の住宅街に13回、繰り返し出没していたとみられる、雌のヒグマが14日、藤野の山林で猟友会のメンバー2名により射殺、駆除された。

札幌市によると、ヒグマは前日13日午後6時50分ころ、藤野で断続的に目撃情報があった後、14日朝4時半ころ、やぶに入り姿が見えなくなったという。その後、猟友会のメンバー4人と道警の警察官複数名、専門家1人と札幌市職員7人で、ヒグマの進んだ方向の山中を探索中に、猟友会メンバ-2人がヒグマを発見したという。

ヒグマは人間に気付いても、逃げたり向かってくることはなかったが、猟友会メンバ-2人はヒグマの首に猟銃を3発、撃ち込み、午前6時6分に射殺した。ヒグマは撃たれた際、鳴くことはなかったという。その後、現地で専門家が、外見的特徴から、3日から住宅街に出没していたヒグマであることを確認した。

ヒグマは8歳程度の雌で、体長140センチ、体重128キロ、前掌幅(足跡の幅)は12・5センチで、首回りに白い模様があった。江別市の酪農学園大で解体検査をしたところ、猟友会メンバーが撃った3発の銃弾は、ヒグマの急所の肩から首にかけて全て命中していたという。

札幌市の環境局環境共生担当課の担当者によると、ヒグマは基本的に人を警戒し、避ける生き物であること、山と街が近接していることから、同市はヒグマと一定の距離を置いて共存すべきというスタンスを取っている。その上、出没した3日から6日までは、ヒグマも人を見たら逃げたり、隠れたりしていたため、ただちに駆除という判断はしなかったという。

それが7日夜から8日朝にかけて、ヒグマは車が側にいるにも関わらず、逃げずに民家の家庭菜園で作物を荒らすなど、その行動が明らかに変わったという。そのことを受けて、札幌市は専門家、有識者と協議し、9日にヒグマを捕獲する方針を決め、10日に箱ワナを2個、設置した。

ところが、翌12日になって、明け方には山に帰るはずのヒグマが、人が活動する午前8時を過ぎても住宅街に滞在していることから、危険が高まったと判断。12日午前に初めて猟友会に連絡し、専門家、有識者を交えて協議した結果、駆除を視野に入れたという。鳥獣保護管理法で、住宅の多い場所での発砲や、夜間の発砲が禁止されていることを踏まえ、安全を確保し、警察の指示の下、発砲が可能な態勢を整えた。

札幌市では、4月にも南区真駒内と清田区でヒグマの目撃情報が相次いだが、いずれも一過性のものだった。一方で、今回のケースは、ヒグマが繰り返し住宅地に現れ、エサを取ることに慣れてきていた。フンの痕跡からも、出没当初は山に生えた草やアリなどが出てきたが、市街地に頻繁に出没するようになってからは、家庭菜園のトウモロコシなどの作物をはじめ、人由来のものが出てきたため、最終的に駆除の判断に至ったという。