国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典(本名・康博)被告(66)と妻諄子(本名・真美)被告(62=詐欺罪などで起訴)の被告人質問が2日、大阪地裁(野口卓志裁判長)で行われた。

午後からは、起訴内容の大半について無罪を主張する諄子被告の被告人質問が行われた。諄子被告は学園が同府豊中市で新設を計画していた小学校の建設費を巡る国の補助金約5644万円については関与を否定。設計業者らとの会話で同被告が「やった。知恵って出るもんだ!」との音声データについては「まったく覚えていません」と繰り返した。

両被告は3月の初公判で「補助金詐取の共謀や故意はなかった」と起訴内容の大半について無罪を主張。この日の被告人質問で諄子被告は「お父さんの指示で」と主張する一方で、私生活では「お父さんとは一体」と夫婦愛を強調した。

検察側は「夫婦仲がよい秘訣(ひけつ)は何ですか?」と質問すると、諄子被告は「よくけんかすることです」と返答。さらに検察側が「ウソをつかれたり、隠し事をされたことがないですか」と詰め寄ると、同被告は、検事の名前を挙げ「逆に○○さんこそ、どうですか」と“逆質問”で返した。

この日午前は前回に続き、泰典被告の被告人質問が行われた。大阪府、市からの補助金について虚偽申請したことは認めているが、だまし取る意図はなかったとあらためて主張。検察側に「何度も同じことを言わないでください」とかみつくシーンもあったが、被告人質問の最後には「税金を納めている国民のみなさんには、謝らなければいけない」と反省の言葉を口した。

閉廷後、泰典被告は恒例の一句を詠み上げた。

正義あり 邪は散り落ちて 秋となる

「検察側の妻への“邪”は散り落ちた」と解説した。

10月30日に論告求刑公判が開かれ、判決は来年2月19日。