静岡・清水港で26日、毎年恒例のクロダイの稚魚放流が実施された。

神奈川・三崎から陸送されたクロダイ稚魚で、例年体長6~7センチだが、最大14センチで平均12センチの大ぶりなサイズを約1万匹放流した。8月22日には1万2000匹前後が港内各所で放され、今年は計2万2000匹が放流されたことになる。

クロダイをダンゴ釣りで狙う釣り宿「山本釣船店」「ふじや釣舟店」「原金つり船」3軒で構成される清水釣船協同組合が、途中、中断した年もあったが1983年(昭58)から継続して放流事業に取り組んできた。釣り船料金の中に放流募金250円が含まれており、釣り客が増えると放流匹数も増える仕組みになっている。

清水港は、クロダイのダンゴ釣りでは国内有数の釣り場。オカラにサナギ粉や水を加えておにぎり大のダンゴをつくる。そのダンゴが海中で割れるとオキアミやコーンなどのエサを差したハリが出てくる仕組みで、ダンゴで集まってきたクロダイがヒットする。

午前8時すぎには地元の清水小学校の1年生児童42人が「お魚さん、大きくなってねぇ」と放流に参加した。事前に港内で釣り上げられた35~40センチの成魚も水槽で公開され「へぇ~、こんなに大きくなるんだね。すんごいパチャパチャしていてクロダイ最強だね」などの歓声があがっていた。

この3年は清水港内で「年無(としなし、またはねんなし)」と称される50センチ以上のクロダイがシーズンを問わずに釣れることが多くなった。同組合理事長を務める「山本釣船店」貝森秀一代表(58)は「地元の子どもらにクロダイの稚魚放流をしていることを知ってもらうことが大事。今後も放流と子どもに手伝ってもらうことは継続していきたい」と話した。