2020年度(21年1月)開始の「大学入学共通テスト」をめぐる緊急シンポジウムが13日、東京・本郷の東大キャンパスで開催された。大学教授や予備校講師ら有志が「新共通テストの2020年度からの実施をとめよう!」と題してツイッターなどで呼びかけ、大学、高校、予備校の教育者や現役高校生、保護者ら約300人がつめかけた。

発起人の1人、中京大・大内裕和教授は「サイレントマジョリティーは反対している。受験生を実験台にしてはならない。実施したら大混乱になる」などと主張。東大の中村高康教授は英語の民間試験導入について「初年度の日程が混乱している。制度的欠陥を抱えたままタイムリミットがきた」、日大の紅野謙介教授は国語で導入される記述式問題について「長所を殺し短所を伸ばす使い方をしている。プレテストをみると問題の質が劣化している」、東大の阿部公彦教授は「運営上の失敗、構造的欠陥、理念のいい加減さが問題」などと指摘した。高校生からは「英語の民間試験はどれを受ければいいのか分からない」「周りの友達は状況を把握していない」、保護者からも「高校では3年生に浪人するなと言っている」「英語の民間試験はなぜ高3時の成績しかダメなのか」などの声が相次いだ。

20年度入試の英語は、志望大学の方針によって、必要ならば、来年4~12月に民間6団体のいずれかを受け、最大2回分を大学入試センターに登録。志望大学の受験資格や2次試験加点などに使われる仕組み。今なお各民間試験の日程、会場などの概要に未定部分が多く、教育現場は混乱している。また異なる検定を公正に比較できるのかという疑念や、新たに検定料や交通費がかかる、数多く受験した方が有利になりやすいなど、所得格差や地域格差なども生まれる懸念があり「最低限の公平性、公正性が担保されない」などの批判が噴出。全国高等学校長協会も延期、見直しなどを求める要望書を文科相に提出してきた。また国語と数学に記述式問題が導入されるが、その採点を民間業者が担当することにも批判や疑問が出ている。