2020年東京五輪のマラソン札幌移転問題で大会組織委員会は、同市中心部の大通公園を発着地とした場合、観客席を設けない案を最有力として検討していることが28日、大会関係者への取材で分かった。数万人規模の観客席が設置できないことや、チケットの複雑な払い戻し手続きが販売システム上、難しいとの見方が強まった。

1次販売で購入手続きが完了したのは約322万枚。総数の3分の1以上とみられ、マラソンも多くの購入者がいるとみられる。そのため数万人を収容できる札幌ドーム発着案が浮上したが、1種目のみが見られる男子マラソンは、最も良い席で6000円と安価だったためチケット収入と札幌ドームの改修費とが釣り合わないとの見方が出た。

払い戻し手続きの課題も浮上。チケットごとに札幌転用希望の有無など、個別に対応するのは難しいという。陸上6種目、3つの表彰式が見られる女子マラソンチケットは、さらに煩雑な払い戻し作業となるため、組織委は対応策の検討作業に追われている。

大通公園は数万人の仮設席を設置する場所がなく、来賓席や少数の観覧席は設ける可能性はあるが大規模な観客席は設置しない方向。その場合、五輪マラソンの観戦は沿道のみとなる。