9月に初入閣した河井克行法相（56）は10月31日、妻で7月の参院選で初当選した河井案里参院議員（46）の陣営をめぐる公選法違反疑惑を同日発売の「週刊文春」で報じられたことを受け、電撃辞任した。

自身にも、じゃがいもなどを贈ったとする疑惑が浮上。「今回の一件は私も妻も全くあずかり知らない」とした上で「疑義が生じたこと自体、法の番人として国民の信頼に耐えうるものではない」と辞任理由を説明。「政治家として責任を取るのではない」と議員辞職は否定し「調査して説明責任を果たす」と、述べた。

安倍政権では先月25日、公職選挙法違反の疑いで菅原一秀氏が経産相を更迭されたばかり。わずか1週間で、2人の重要閣僚が「政治とカネ」で辞任した。この2人はともに菅義偉官房長官に近く「菅人事」の象徴として、初入閣を果たした。重要閣僚での入閣には、「菅さんによる『お友達』の後押しがあったと受け止められている」（自民党関係者）との指摘もある。

そんな菅氏の努力にもかかわらず、2人の「辞任ドミノ」に発展したことは、安倍晋三首相の政権運営に大打撃を与えるだけでなく、「令和おじさん」として4月以降、政権内での存在感を強めてきた菅氏の足元も揺るがす、深刻な事態となっている。

菅氏は無派閥。同様に無派閥の自民党議員による菅氏系のグループが複数あるが、河井氏は「向日葵（ひまわり）会」の世話人で、菅原氏は「令和の会」に参加。小泉進次郎環境相も菅氏に近いとみられ、9月11日の内閣改造では「菅色」が強まっていた。

菅氏は31日の会見で、自身に近い2人が相次いで辞職に追い込まれたことについて「厳しい批判があることを受け止める必要がある」と淡々と語ったが、思わぬ逆風が吹き始めている。