年末の風物詩、「『現代用語の基礎知識』選 2019ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語が6日、発表された。ノミネート語の解説は、以下の通り。

<1>あな番(あなたの番です) 秋元康企画の日本テレビ系テレビドラマで、25年ぶりの2クール=半年連続ドラマとして話題に。新婚夫婦が交換殺人ゲームに巻き込まれ、ネットでは視聴者による「考察合戦」が繰り広げられるほど予想できない展開で人気となった。第2章「反撃編」からは、TBS系『はじ恋(初めて恋をした日に読む話)』にも出演した横浜流星も登場した。

<2>命を守る行動を 気象庁が2013年から運用を開始した「特別警報」は、気象災害や水害、地震、噴火などの重大災害が起こるおそれが著しく大きい場合に出される。経験したことのないような異常な現象が起こり得る状況のため、対象とされる地域の住民はただちに「命を守る行動をとる」ことが推奨される。台風19号ではテレビやラジオでも特に多く耳にした。建物等で上下垂直方向に避難する垂直避難など臨機応変な対応を促し、注意喚起をした。

<3>おむすびころりんクレーター 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小惑星探査機「はやぶさ2」により2019年4月に生成された、リュウグウ表面の人工クレーターの愛称。世界各地の子ども向けの物語にちなんだ名前を付けることになっており、公式ではなくプロジェクトチーム独自提案の愛称という扱い。

<4>キャッシュレス/ポイント還元 クレジットカードや交通系ICカードなどを利用した現金を使わない決済方法。10%への消費税増税の際、ポイント還元事業とセットで経済産業省により後押しされた。さかんに宣伝されたが、ポイント還元については事前登録が必要なものも多く複雑でわかりにくいという声もあった。ただ、キャッシュレスで買い物する層が増えたといわれている。

<5>#KuToo セクハラ被害を告発し撲滅するムーブメント「#MeToo」になぞらえ、「靴+苦痛+MeToo」をあわせた造語。職場で女性がハイヒールやパンプスの着用を義務づけられている慣例への抗議運動として、元グラビアアイドルでライターの石川優実が提唱した。

<6>計画運休 台風接近など列車の運行に影響が予想される場合に、安全の確保と混乱の防止を図るため、風速や雨量が規制値に達する前に運転を取りやめること。台風15号、19号ともに鉄道各社により実施された。

<7>軽減税率 消費税率を10%に引き上げる際に導入された経過措置。定期購読新聞代や食料品などに8%の軽減税率を導入したことで税金の負担感は軽減されるが、軽減税率と標準税率の2つの税率が共存することになり、消費者にとって不透明でわかりにくいものになった。

<8>後悔などあろうはずがありません 大リーグ・マリナーズのイチロー選手が3月、東京ドームでのアスレチックスとの開幕2戦目終了後に引退を表明。引退会見で決断に対して問われた際にこたえた言葉のひとつ。

<9>サブスク(サブスクリプション) 本来は定期刊行物の購読・契約などを意味する言葉だが、近年、ゲーム、動画、音楽など配信サービスのデジタルコンテンツの定額使い放題サービスを意味するようになった。さらに、服飾品のレンタルサービスや飲食店の飲み放題の月額制など、非デジタルも含む広範なビジネス分野にも広がっている。

<10>ジャッカル ラグビーワールドカップ日本大会で、フォワードの姫野和樹選手が得意とした技。タックルされ倒れた相手選手のボールを奪いにいく技で、立ったままボールにからむプレーを動物のジャッカルにたとえたもの。

<11>上級国民 4月に東京・池袋で起きた自動車暴走事故の高齢加害者が逮捕もされず容疑者とも呼ばれず、「元院長」と報道された点に注目が集まった。特権的な立場だったからこそ逮捕されなかった、との臆測がネットを中心に広まり警察や報道を批判する動きも広がった。

<12>スマイリングシンデレラ/しぶこ 女子ゴルフメジャー「AIG全英女子オープン」で優勝した渋野日向子選手。日本勢の海外メジャー制覇は1977年の全米女子プロ選手権の樋口久子選手以来、男女を通じ42年ぶりで一躍時の人に。笑顔全開のプレースタイルが「スマイリングシンデレラ」と海外で称され話題を呼んだ。渋野選手が出場する試合には大勢のギャラリーが集まり、しぶこフィーバーでテレビ中継の視聴率もうなぎ上りという。

<13>タピる タピオカパール(キャッサバで作った団子状の粒)をミルクティーなどの飲料に入れた台湾発祥の「タピオカドリンク」が流行した。タピオカドリンクを飲むことをあらわす「タピる」「タピ活」などの派生語もうまれ、インスタ映えすることでブームが継続した。狭いスペース、低コストで運営できることで繁華街に専門店が林立した。

<14>ドラクエウォーク スマホ向け位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」が2019年9月に配信された。RPGゲームの王道である「ドラクエ」の世界を冒険しつつ、健康的に歩きながら楽しめるスマホゲームアプリとして話題に。

<15>翔んで埼玉 特定地域をディスる(ばかにする)映画が、その地域で熱狂的に受け入れられた。映画『翔んで埼玉』は漫画家・魔夜峰央による未完のギャグ漫画が原作で、埼玉県民が東京都民に虐げられる架空世界が舞台。埼玉県を中心とした全国的なヒットとなった。