安倍晋三首相が6日の衆院予算委員会集中審議で、自身の不規則発言がもとで審議を止めてしまう「場外戦」を起こした。先月「野党の皆様に謙虚で丁寧な総理と言ってもらえるよう努力したい」と述べたばかりだが道のりは険しそうだ。

問題の場面は、萩生田光一文科相の「身の丈発言」を追及していた無所属の今井雅人議員が、加計学園獣医学部設置問題で浮上した、萩生田氏の発言とされるメモに触れた際に発生。作成者はだれかと萩生田氏に質問する中、席に座った首相から「『あなたではないか』と、私に指をさされた」という今井氏は「私が作るわけない。失礼ですよ。侮蔑だ」と、憤慨。首相に謝罪を求める事態に発展した。

首相は「誰(が書いた)か分からないと言った」「正確な発言ではないわけです」などと言い訳を続けた末に「座席から言葉を発したのは申し訳なかった」と、陳謝。今井氏は「萩生田氏に言われるならまだ分かるが、なぜ総理なのか」と批判したが、首相がモリカケ問題の追及に今も敏感になっている現実を、あらためて浮き彫りにした。

首相は、閣僚2人の辞任を受けて「(本来は)1人の辞任もあってはならない」と強調。辞任を拒否した萩生田氏を、自らも続投させる意向と強調したが、「ドミノ辞任」の不安は残る。以前は「頭の片隅にも真ん中にもない」と述べた衆院解散について「現時点では考えていない」と時期に条件をつけるなど、野党をけん制するような発言もあった。【中山知子】