日本電信電話公社や国鉄などの民営化を行った中曽根康弘(なかそね・やすひろ)元首相が29日午前7時22分、老衰のため都内の病院で死去した。101歳だった。

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自民党総裁時代、衆院選比例代表候補者の選定基準に「73歳定年制」を導入、中曽根康弘氏が国会議員を引退するきっかけをつくった小泉純一郎元首相は29日、訃報に沈黙を貫いた。関係者は「コメントを出す予定はありません」と、話した。

中曽根氏は小選挙区が導入された96年衆院選以降、自民党比例北関東ブロックの「終身比例1位」を約束され、当選を重ねた。それだけに、小泉氏の「引退勧告」には「政治的テロ」と大激怒。会見では「年寄りはもう引っ込めという民衆迎合のにおいを若干感じた」「自民党史に残る汚点」と恨み節を残しつつ、「引退はしません。政治に対する使命感や情熱は決して衰えるものではない。(バッジはなくても)引き続き、政治活動を続けていく」と生涯現役を宣言。「暮れてなほ 命の限り 蝉しぐれ」と俳句に心境を託して政治家としてのプライドをにじませ、言葉通りその後も精力的な活動を続けた。