6434人が犠牲になった阪神・淡路大震災は17日で25年。サッカー・Jリーグのヴィッセル神戸は元日の天皇杯で初のタイトルを獲得した。

阪神大震災があった95年1月にチームとして始動した神戸は復興へと歩む人々の希望でもあった。震災25年の節目に、ようやくたどりついた初優勝に勇気づけられ、新たな1歩を踏み出したスタッフ、サポーターもいる。

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神戸市須磨区の産婦人科医、益子和久さん(70)は93年に市民団体「神戸にプロサッカーチームをつくる市民の会」(愛称・オーレ!KOBE)を設立。神戸の街に出て、23万人を超える署名を集めた。ともにチラシを配った多くのメンバーが震災で亡くなった。あの日から四半世紀。初タイトルの悲願達成に「仲間たちには『ここまで神戸が強くなったよ』と報告したい」と話した。

被災者の高齢化が進み、震災の風化を懸念する声もある。益子さんは「地震を忘れないために神戸讃歌がある。ヴィッセルが強くなるほど震災の記憶が多くの人に受け継がれる」。チームは復興のシンボルであり続ける。

<神戸讃歌の歌詞>

♪俺達のこの街に お前が生まれたあの日

どんなことがあっても 忘れはしない 

共に傷つき 共に立ち上がり

これからもずっと 歩んでいこう

美しき港町 俺達は守りたい

命ある限り 神戸を愛したい

※エディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」に歌詞をのせ、応援歌を合唱する

◆阪神・淡路大震災 1995年(平7)1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北部を震源にマグニチュード(M)7・3の地震が発生。神戸市などで観測史上初の震度7を記録。死者6434人、重傷者約1万人、被害家屋は約64万棟に上った。国内の大都市を襲った地震としては戦後最悪。

◆ヴィッセル神戸 川崎製鉄水島を母体に94年設立。95年元旦に「ヴィッセル神戸」として始動したが、初練習を予定していた1月17日、震災が起きた。チームは練習拠点を転々とさせながら同年から日本フットボールリーグ(JFL)に出場。97年にJリーグ昇格。神戸市から資金支援を受けたが経営破綻し、04年に株式会社クリムゾンフットボールクラブに営業権譲渡。17年4月に法人名を楽天ヴィッセル神戸株式会社と変更。ヴィッセルは「VICTORY(勝利)」と「VESSEL(船)」の造語で「勝利の船」の意味。本拠地はノエビアスタジアム神戸。