安倍首相の一斉休校要請に全国の自治体から28日、戸惑いと疑問の声が噴出した。

首相が一夜明けて「各学校、地域で柔軟にご判断いただきたい」と発言を修正したことに、千葉県の森田健作知事は「地域によって政策に格差が出てしまう。自治体任せではなく、国がしっかりやってほしい」とかみついた。

愛媛県の中村時広知事は「場当たり的で唐突。不安だけが大きく広がりかねない」と批判した。「家庭事情などによって柔軟な対応を取る必要がある。教員の勤務体系も議論しないといけない。2日からでは厳しい」として、3月4日から県立学校を休校にする。各家庭の事情を踏まえ、「感染対策を徹底した上で学校で子どもたちを預かる場合もある」と話した。

金沢市の山野之義市長は「周知や議論の期間があまりにもなく、感染者が出ていない学校も休校にすることは、市民に責任を持って説明できない」として3月2日からの休校を考えていないと明らかにした。「地方は中小企業が多く、親が休んだり、勤務時間を短縮したりすることで企業への影響も大きい」と指摘した。

千葉市の熊谷俊人市長は「なぜ春休みまでなのか。疫学的な根拠を知りたい」と話し、小中学校は3月3日から、高校は4日から、ともに16日までの休校とすることを明かした。小学1、2年生や特別支援学級の子どもたちは校内で預かる方針。

方針に従って2日から休校するものの、石川県の谷本正憲知事は「考える時間が短すぎる」と批判し、埼玉県の大野元裕知事も「あまりにも唐突」と苦言を呈した。

全国知事会は28日夕、「突然の方針発表で教育現場や子どもを持つ家庭で混乱やさまざまな課題が生じることが懸念される。各地域で状況が大きく異なることから地域に応じた弾力的な対応が必要。保護者や関連事業者などにさまざまな負担が生じる恐れがある」として、政府に万全な対応を強く求める異例のコメントを発表した。