26日に福島県から始まる東京オリンピック(五輪)聖火リレーについて、大会組織委員会が24日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、直前になって中止を決定したことを受けて、福島県のランナーはさまざまな形で受け止めている。

同県双葉町出身の声優兼女優桜庭梨那(24)は「走れないと意味がない」と、いったん今年の聖火リレーが中止となったことについて前向きに受け止め、仕切り直しを希望した。

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桜庭は聖火リレー初日の26日、故郷・双葉町でのランナーに起用されていた。新型コロナウイルス感染拡大の中での同日からの聖火リレー中止について「当然だと思います。良かったと思います」ときっぱりと言った。

今年の聖火リレーが中止に決まるまで、聖火をランタンに入れて車で運び、祝賀イベント会場を回る「聖火ビジット」という形式に変更されるプランもあった。双葉町は11年に起きた東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く中、「帰還困難区域」の避難指示が今月4日、初めて一部解除されたばかりだった。

「双葉町に関しては、車移動に変えてまでリレーを決行する理由が分からない。ランタンの車移動に変更しても意味がない。ズルズルリレーをやるのは納得できないと思っていたので、それなら延期してほしいと思っていました」。当初からランナーなき聖火リレーに反対していた。

これまでに、東京五輪公式HPの一般問い合わせ先などに「車で聖火を運ぶなら、リレーは中断して、あらためてリレーを行ってほしい」といった要望をメールしたという。

「聖火リレーはようやく双葉町に入れるようになったこと、復興していく姿を見てもらえる機会です。誰が誰のために何のために行うのか。走れないと意味がないと思います」と力説。さらに「ランナーなしでリレーが決行された場合、きっと聖火が車移動でリレーした意味があったのかという思いが、ずっと残ってしまったと思う。先を越された感もありますから」と個人的な思いものぞかせた。

来年の開催延期も決定した。「地元の人や家族に迎えられて走りたいと思っていた。来年、あらためてちゃんと走りたいです」と願った。【近藤由美子】