仙台の八木山ベニーランドは14日で開業52年を迎える。東北最大級の遊園地で「近所にある夢の国」と元気に営業中だが、新型コロナウイルスの影響で来園者が減少。11年の東日本大震災では35日休園しながらも困難を乗り越えた。八木充幸社長(66=写真は東北題字)は「震災も初めての経験で先行きが見通せなかったが、今回の新型コロナはもっと不透明」と危機感を口にする。

冬季休園を終え3月14日に今季の営業が本格的に始まった。新型コロナ禍で来園者は例年の5~6割で推移していたが、3月末に仙台市内の英国風パブで集団感染が確認されて以降は「目立って少なくなった。本来は春休み期間で、それなりにお客さまに来ていただけるが、例年の3分の1かそれを下回るか」。通常の土日は1日1000~2000人、毎年のピークになるゴールデンウイークの5月3~5日は同7000~8000人が来園するが、今季は大幅な減少が予想される。

ベニーランドはコロナ対策で入場口、遊具、トイレ、飲食ブースなどに約40個のアルコール消毒液を設置。観覧車と電車型遊具は窓を開けた状態を保ち、室内のお化け屋敷、エア遊具は休止している。また今月予定していたコスプレイベントは更衣室での着替えやメークが3密(密閉、密集、密接)になると見送り、5月の街コンも延期された。

仙台中心部から約4キロの好立地で、約30のアトラクションが来園者を笑顔にする。八木社長は「3世代で利用されたり、いろいろな思い入れを持っていただいています。お子さん連れの方は『私も子どもの頃に来てた』と懐かしさがあったり、ほどよい大きさに中身がぎっしり詰まっているコンパクトさも魅力です」。新しい思い出と懐かしい思い出が交差する憩いの場。宮城のシンボルはこの先も変わらない。【山田愛斗】