コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなどスポーツ各種、芸能イベントは開催できない状況です。暗いニュースがあふれる中で心温まる、ホッと一息つける「ホッコリニッカン」面を新設しました。「日本の色」として、鮮やかな写真とともにお届けします。

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香川県観音寺市の高屋神社本宮に「天空の鳥居」と呼ばれる鳥居がある。標高404メートルの稲積山の頂上に本宮があり、2018年には四国八十八景に選ばれた。瀬戸内海や市街地のパノラマが広がり、絶景が一望できると、近年、SNSなどで人気となっているパワースポットだ。

例年、4月第2土、日曜に開催する、ちょうさ(太鼓台)を奉納する春の例祭が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。神社を管理する主任総代の森川光典さん(80)は、「子どもの頃から参加する祭りの中止は、残念で寂しい」と話した。

四国学院大硬式野球部に所属する2年生の上大川智聖さん(19)と新入生の川村泰誠さん(18)は、練習休みを利用し本宮を参拝した。福岡・折尾愛真高出身の先輩後輩。同校は2018年の夏の甲子園に初出場。当時、上大川さんはアルプススタンドで野球部の応援団長、川村さんはボールボーイを務めた。コロナ禍で大学の入学式が中止となり、慣れない新生活を送る後輩の緊張と不安を少しでも和らげてあげようと、密集地を避け、絶景スポットに連れてきた。

上大川さんは捕手、川村さんは投手。「僕らの目標は神宮です。リーグ戦、大会も延期となってるけど、今できることを頑張ってやるしかないですね」と話した女房役の上大川さんの夢は、「競技を続け、将来、指導者で甲子園出場」。立てなかったあのグラウンドを目指す。

瀬戸内海と空の「青」が映える「天空の鳥居」の絶景に、人を思いやる「青春」色も重なって見えた。【江口和貴】

<撮影データ>4月10日午後3時24分撮影 キヤノン「EOS-1DX Mark2」 24-70ミリ ISO感度500 シャッタースピード1250分の1 絞り5