大阪府の吉村洋文知事(44)が11日、内閣が検察幹部の役職定年を延長できるようにする検察庁法改正案に対し、俳優ら各界著名人がSNSのツイッター上で抗議のツイートが相次いでいることに「著名人の方が抗議の声を上げるのはどうなのかという意見があるが、僕はどんどん、声を上げていくべきだと思う」と主張した。

著名人の政治的発言について、疑問を投げかける声もあるが「それはまったく違う。権力サイドに対して批判や意見を発信していくのは、民主国家としてあるべき姿だと思う」と語った。

検察庁法改正案の実質的な審議は、8日に衆議院内閣委員会で与党が強行する形で始まった。衆院内閣委には、多くの野党議員が欠席する中、自民、公明、日本維新の会の議員のみが出席した。

同法案について、吉村氏は「僕は公務員の定年延長には反対ではない。そこは日本維新の会がつめていくと思う。(日本維新の)国会議員の判断に任せる」とした。

安倍内閣は1月末に政権に近いとされる黒川氏の定年延長を閣議決定。検察トップの検事総長に黒川氏を就けるためではとの批判もある。

弁護士出身の吉村氏は「政権に対する捜査などを緩めてしまうのではないか、介入じゃないかという意見もあるが、これは突き詰めて考えなければいけない。検察トップの人事権はだれにあるのか」と議論の前提条件を投げかけた。

「検察庁法で人事権は内閣にあると決められている。なぜか? 検察組織は強大な国家権力を持っている。強大な国家権力を持つ人事権をだれが持つべきなのかを本質的に考えなければいけない。僕は選挙で選ばれた代表である国会議員で構成される政府が最終的な人事権を持つのが、むしろ健全だと思う。もし検察組織が独善になったとき、だれがそれを抑えるのか。だれも抑えられない。最終的には人事権を持っている人でないと抑えられない」

ネットで沸き起こる議論の本質として「反対する人は検察トップの人事権はどこがいいのかという問いに答えなければいけないと思う」と指摘した。

「検察官の捜査権限は政府だけではなく、国民にも向けられる。内閣が人事権を持っている以上、黒川さんがどういう方かは存じませんが、その方が適任だと考えたら、その人を検事総長にさせるのは筋ではないかと思う」

法律のスペシャリストとして論点を整理した上で「法改正に反対する人が『黒川さんではおかしい』『やり方がおかしい』と思うなら、法案というよりも、いまの政府を打倒する。いまの政府のやり方がおかしい、信用できないというのであれば、いまの政府を倒そうという運動をするべきだと思う」と話した。

ただし「内閣打倒運動」には「説明責任がいる」と話した。