新型コロナウイルスの感染拡大にともなうマスクの品薄から高値、買い占め、高額転売などで膨れあがった「マスクバブル」がはじけている。

11日、東京都内のマスク乱売スポットでは1箱(50枚入り)1963円(税別)と、ついに2000円を割り込んでいた。一時はネットで1箱(50枚入り)1万円以上に相場が高騰したマスクの値崩れは今後も続くと予想され、投げ売り状態となりそうだ。

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都内でマスクが大幅な値崩れを起こしている。大量販売する2大スポットの1つ、JR上野駅から御徒町駅周辺に広がるアメヤ横丁(アメ横)では店舗前にマスクが山積みされていた。使い捨てマスクの値段は1箱(50枚入り)で2500円前後(1枚約50円)。「先週まで2800円で売っていたけど値下げした。それで売れない」と輸入雑貨を本業とする中国人の女性店長は、ため息まじりだ。

路地では1箱(同)2000円(税込み=1枚40円)で売られていた。大半が中国製で「高性能フィルター」「3層構造」など日本語で表記されているが、品質や製造管理の基準である「全国マスク工業会・会員マーク」はない。実際に見本品を手に取るとやや薄い印象だった。

アメ横で長年、時計販売業を営む伊勢屋の穴田忠雄社長(71)も店頭にマスクを並べていた。「コロナで時計は見向きもされない。仕方なく数千枚を仕入れて4月下旬から販売したがさばけない。正直言ってボランティア価格ですよ、赤字」と苦笑いした。

もう1つのスポット、コリアンタウンとして知られる新宿区の新大久保通りでは、「乱売」状態だった。化粧品店、雑貨店、飲食店などの最前列にマスクが並べられていた。1箱(50枚入り)1963円(税別)と、2000円を下回る商品もあった。品薄前はドラッグストアなどで1箱(同)598円(税別)前後で販売され、1枚約12円だった。それが一時は1箱(50枚入り)5000円前後(1枚約100円)まで高騰したが、半値以下まで下落している。

感染が収束したとされる中国や韓国からマスクが大量輸入されているとされるが、国内ではシャープなど国内メーカーのマスクが人気だ。海外生産の製品ではネット通販で1箱(50枚入り)1419円(税別、1枚約28円)で販売するサイトも登場している。「アベノマスク」が全国に配達される前にマスクバブルが崩壊を始めた。【大上悟】