大阪のシンボル・通天閣(大阪市浪速区)が30日、展望台の営業を再開した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月9日から地下の食品フロアを除き臨時休業が続いていたが、約50日ぶりの再開となった。

営業開始時間の午前9時、運営会社「通天閣観光」の高井隆光社長(45)が「通天閣の再オープンです。どうぞ!」と大声で宣言。待ちわびた客が次々に展望台を目指した。一番乗りした近所に住む会社員、林宏征さん(54)は「さみしかった。通天閣から大阪の景色を眺めるのが何よりの癒やし」と180度パノラマの絶景を楽しんだ。

感染対策として、館内では消毒や換気を徹底した。来場者にはマスク着用、入り口でサーモグラフィーによる検温を実施。37・5度以上の熱がある場合は入場を制限する。展望台に向かうエレベーターは、収容人数の半分の最大8人に限定する。エレベーターの床には外側に向かって矢印「→」を貼り付け、来場者が内側に向いて、対面することを避ける。混雑状況に応じて展望台の入場規制も検討する。

高井社長は「苦難の道のりですが、通天閣からみなさんに笑顔を届けたい。通天閣が元気にならなければ、大阪も元気にならない」と意気込んだ。

展望台に鎮座する幸福の神様、3代目「ビリケン」も休業中の修復作業で全身に金粉が施され、カムバック。足の裏をなでると御利益があるとされるが、当面は直接触れず“エアータッチ”で行う。ビリケンさんの近くには「濃厚接触、お断りやで。エアータッチで、よろしく」。串カツの「ソースの2度漬け、お断り」の文言をまねた貼り紙で呼び掛けた。通天閣がリスタートした。