野球居酒屋の底力を見せる-。東陵(宮城)野球部OB菅井勇希さん(36)が店主を務める「一か八か」は、仙台の歓楽街・国分町に12年オープン。さまざまな飲食店で経験を積み「いつか自分の店を持ちたい」と夢をかなえた。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売り上げが激減。4、5月は休店し、存続危機にも直面した。それでも今月から営業再開。野球ファンの来店を心待ちにしている。

当初は普通の居酒屋のつもりだった。母校のユニホームを飾ると知人の東北(宮城)OBから「うちの学校も飾って」と要望され、店内が次第に高校野球グッズで埋め尽くされた。01年夏の宮城大会、菅井さんの代の東陵は2年生エース高井雄平(現ヤクルト雄平)擁する東北に屈し16強で敗退。11年後に「因縁」のユニホームが野球居酒屋のきっかけになった。

通常だとプロ野球が開幕してセンバツもある3月から店がにぎわうが、コロナ禍でプロ野球は3カ月遅れ、春と夏の甲子園は中止に。その影響で資金繰りが苦しくなり、クラウドファンディングで出資者を募集。支援の輪が広がり、92人から目標額を12万円上回る65万円が集まった。

菅井さんは「野球経験、未経験関係なく共通の趣味で盛り上がれる楽しい店です。仙台にもこういう場所があるというのを知ってほしいです」。19日のプロ野球開幕が決定。プレーボールを大逆転の号砲にする。【山田愛斗】