東京都の小池百合子知事と対立する都議会自民党が、小池氏のカイロ大卒業の証明を求める決議案を9日に議会に提出しながら、10日になって取り下げる、「珍事」が起きた。

18日告示の都知事選(7月5日投開票)などを控え「総合的な判断。何かに屈したのではない」としている。大学側が卒業は事実と認めたことも影響したようだ。小池都政で4年間続いてきた両者の対立を象徴するようなドタバタ劇。小池氏は当初予定したこの日の再選出馬表明を、見送った。

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小池氏にとってこの日は、1期目では最後となる都議定例会の最終日。そんな中、小池氏の学歴問題をめぐる混乱が議会で起きた。 本会議では、小池氏に批判的な上田令子都議がカイロ大卒業の証明を求める決議案を提出したが、否決された。この決議案は前日9日、自民、共産も共同で提出していた。しかし10日になって取り下げ、上田氏単独での提出に。決議案文の調整で本会議の開会は20分遅れ、知事与党の都民ファーストの会から自民、共産への批判の声も出た。

都議会自民党は、幹部が急きょ会見。取り下げの理由について、カイロ大から9日夜、小池氏の卒業を認め、学歴詐称疑惑を否定する声明が出たことを、一因に挙げた。川松真一朗都議は「声明直後に決議を出せば、僕らはエジプトと闘うことになる。間違ったメッセージのようにとらえられかねず、冷静に判断した」と説明。鈴木章浩幹事長は「18日に知事選、都議補選が告示され、来年は都議選だ。今後を見据えて私たちが今、どういう態度を示せばいいのか総合的に判断した」「何かに屈したということではないが、さまざまな方にさまざまな意見をいただいた」と釈明した。

都知事選では、小池氏と対立する東京都連と対照的に、関係良好な自民党本部が小池氏が出馬表明すれば推薦する構え。党本部の意向があったのか問われた鈴木氏は「党本部から言われて取り下げたのではない。いろいろなご意見はあった」とだけ、述べた。

今回の問題については「ご自分ので、すっきりした形で次に進むことが、都民の疑念を払うためにも必要」と強調。「知事の足を引っ張るとか、憎いというのではない」とも訴えた。

16年都知事選以降、対立を続ける小池氏に振り上げたこぶしの落としどころをなくし、腰砕けに終わった自民側。最終日恒例のあいさつ回りで自民党に「ありがとうございました」と笑顔をみせた小池氏は「やりがいのある4年間」だったと、1期目を振り返った。