コロナ禍で生活困窮が広がる中、新たな手口のヤミ金融によるトラブルが増加している。

「給与(給料)の債権を売れば、金銭を受け取れる」などと宣伝し、高額な手数料を請求するもので「給与ファクタリング」などと称されている。国民生活センター、消費生活センターなどに相談が数多く寄せられている。

国民生活センターの相談事例には「新型コロナウイルスの影響で仕事が減り、生活費のため、業者に融資を申し込んだ。5万円を申し込むと手数料20%が引かれた4万円が振り込まれた」(30代男性)や、「失業して借金返済が滞り、給与ファクタリング業者と契約したが5万円を申し込んだのに手数料が引かれて3万円であった。手数料が高額で返済できない。業者に家族の携帯番号を教えてしまったせいで執拗(しつよう)な取り立ての電話が家族全員に来るようになった」(20代男性)などがある。

貸金業法の登録を行わない違法な「ヤミ金融業者」もある。給与を担保として高額の手数料を請求し、契約時に勤務先や家族の連絡先を聞き出し、強引な取り立てを行うなどの悪質なケースが報告されている。業者は「債権の買い取りなので金銭の貸し付けではない。借金ではない」などとしているが、国民生活センターでは「実態は貸金業であり、借金と同じ」と注意喚起する。年利換算では数百%にもなるなどの利息や、家族や勤務先へのしつこい電話、高額な遅延損害金が請求されるなど「生活が破綻するおそれがある。ヤミ金融業者を絶対に利用しないでください」と、同センターでは注意を呼びかけている。    【大上悟】