将棋の藤井聡太七段(17)が28日、最年少での初タイトル獲得へ王手をかけた。東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局で渡辺明棋聖(36)を下し、2連勝。藤井は和服での初白星も飾った。

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棋士の和服は、通り相場で一式そろえると約30万円。1着だけあつらえたり、タイトル戦すべてで着られるようにと、複数セット購入する場合もある。藤井や羽生善治九段(49)のように、「将来、大きな舞台で着られるように」との期待を込めて師匠からプレゼントされる棋士もいる。着物のサイズが大きな場合は、腹部にタオルを巻くなどして調整する。

地方を転戦するタイトル戦の場合、行く先々で着付け師も手配してもらえる。何度か登場している棋士は自分で着ることができる。

王位を3期獲得した深浦康市九段(48)は、「着物の先生に4時間、その後、持ち帰って3日で6時間くらい着付けの練習をした」と話す。間隔があくと忘れてしまうため、帯の結び方などのテキストを、対局場に持参したという。動画を対局場で見て、着付けをする若手棋士もいる。

多くの棋士が御用達としている東京・練馬「白瀧呉服店」の白瀧佐太郎当主(47)は、「藤井さんが格好良く着こなしてもらえれば、若い人へのあこがれにもなってもらえそう。そうなれば着物人口も将棋人口も裾野が広がるのでは」と期待していた。【赤塚辰浩】