東京都は2日、新型コロナウイルス新規感染者が107人確認されたと発表した。緊急事態宣言発令中の5月2日の154人以来、2カ月ぶりに100人を突破した。小池百合子知事は都庁で緊急会見を行い、「感染拡大要警戒」として最大限の警戒を呼び掛けたが、休業再要請措置には否定的な考えを示した。東京に隣接する3県の感染者数も増加傾向にある。この日発表された国内の感染者は196人で、宣言解除後最多を更新した。

新規感染者数107人は、緊急事態宣言解除後最多だった1日の67人を大幅に上回った。小池氏は「数字が伸びてきているのは非常に嫌な感じ」と、増加傾向に懸念を示した。

約7割が20、30代で、約4割が「夜の街関連」とし「この傾向はずっと変わっていない」と説明。新宿、池袋エリアで多くの新規感染者が確認されたことも、報告した。「高齢者に波及した場合は感染拡大に拍車が掛かる可能性も否定できない」とも訴えた。

新規感染者50人以上が1週間続く中、小池氏はようやく「要警戒」を打ち出した。背景には、専門家による分析結果もあった。

1日から試行された「新しい指標」に基づく専門家の分析結果を公表。新規陽性者数が1週間平均56・9人で前週から増加したことなどから、感染状況は「感染拡大しつつあると思われる」とされた。医療提供態勢も「態勢強化の準備が必要であると思われる」との分析だった。専門家は「感染経路不明者が増え、街中に感染が広がっている可能性を示している」とし、新宿区の集団検査など積極的な検査数増加によるものだけではないとも指摘した。

再び感染拡大が続く中、小池氏は再度の休業要請について「経済社会活動との両立、新しい日常の定着を、感染拡大防止と進めていくことをベースに考えている。国の方でも、そのようなお考えはないとのことでした」と否定的だった。「緊急事態宣言下に皆様に我慢していただいた。あのような状態に戻るのは、好ましくない」と、話した。

都が休業再要請に否定的なのは、「財政不足」も一因として指摘される。都は既に、「貯金」に当たる財政調整基金の大半を取り崩し、計1兆円以上をコロナ対策に充て、残りは1000億円を切っている。ある幹部は「経営者を説得できるだけの補償をする財政的余裕はない」と説明。「医療提供態勢を整え、感染者が一定数いても必要以上に恐れることはないと発信するしかない」と話すなど、具体的な解決策はまだ見えていない状態だ。