東京オリンピック(五輪)の開幕まで23日で1年となった。先の都知事選で再選を果たし、新型コロナウイルスの世界的流行という未曾有の危機の中、開催へ向け、手探りの準備を続ける東京都の小池百合子知事が日刊スポーツのインタビューに応じた。小池氏は新型コロナウイルスに「打ち勝った証しとしての大会」とすべく、あらためて、五輪・パラリンピックへの決意を語った。

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本来なら、24日に世界が熱狂する大会が幕を開けていた。マラソンが札幌に移転するなど、東京の暑さが懸念されてきたが、小池氏は「今年開催できて、この涼しさ、温度だったらどんなに良かったかと思う」と話した。今や、大会の開催自体が危ぶまれるような新型コロナとの闘いがのしかかる。それでも、小池氏は「コロナウイルスに打ち勝ち、世界が一丸となり、難局を乗り越え、人類が絆をさらに強めることができた象徴となるように、頑張らなければいけない」とあらためて表明した。

開幕まで1年を切ったが、国内では東京を中心に感染が再拡大。国外の感染状況を含め、開催に向けての課題は多い。小池氏は、IOCや国、組織委員会などと連携し、開催へ向けた具体的な取り組みを9月には明らかにできるように、協議を進めているとした。無観客での開催も選択肢なのか、今の感染状況が続いても開催するべきかなどの質問には「協議をする必要がある。協議の中で、さまざまな案を申し上げることになろうかと思う」と、慎重な答えを繰り返した。

五輪開催を控える東京だが、国内では感染者数で突出している。22日に始まった政府の観光支援事業「Go To キャンペーン」では、都民や東京を目的地とした旅行は対象から除外された。小池氏は「除外する時の基準もよく分かりません」と、GoToをめぐる国の対応には違和感も隠さなかった。国との連携に不安がないかとの質問には「それはありません。連携を取れるところはちゃんと取っています」と話した。

五輪に向けた対応、コロナ対策でも存在感を強める小池氏をめぐっては、国政転身の観測も絶えないが、小池氏は、国政復帰論について「2期目が始まったばかりです。コロナ対策にしっかりと取り組んでいきたい」と強調してみせた。

東京五輪を控えた2期目がスタートする。課題は五輪へ向けた政策だけにとどまらない。小池氏は「1つ1つの政策を実現するにも、コロナ対策がまず前に立ちはだかる。感染症の拡大防止を徹底して進め、都民の皆さんと新しい日常を築き上げていきたいと考えています」と話した。【佐藤勝亮】