将棋の最年少2冠を目指す藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に挑む第61期王位戦7番勝負の第3局が4日、有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑(ずいえん)」で始まり、午後6時すぎ、後手の木村が46手目を封じて1日目を終えた。1日目、人工知能(AI)の評価値はほぼ互角で推移した。

ここまで2勝0敗と先行する藤井が一気に史上最年少での2冠に王手をかけるか。昨年の王位戦、最年長で初タイトルを奪取した木村が逆襲するか。注目の第3局は、藤井が意表突く矢倉の戦型に誘導した。矢倉を得意とする木村が金矢倉に構える中、藤井は昭和初期ごろから指される土居矢倉を採用した。

実践例の少ない展開に両者は1手1手を慎重に考え、時間を使った。

3日の会見で「しっかりと準備はできました。いい状態で臨めると思います」と話していた藤井は、古いとされる戦型に斬新なアイデアを加え、最先端の将棋を展開しようとしている。

「番勝負はちょっとした積み重ねが大事。いっぺんに2局、3局勝つわけにはいかない。大事に指したい」と語っていた木村は、じっくりと受けて立つ。

持ち時間各8時間のうち消費時間は藤井が4時間12分、木村が3時間34分。2日目は5日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。