安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選をめぐり、菅義偉官房長官(71)を推す動きが8月31日、一気に拡大した。

二階派(47人)が支持を決めたほか、最大派閥の細田派(98人)や岸田文雄政調会長が支持を期待した麻生派(54人)も支持方針を固めた。菅氏は支援議員から出馬要請され、総理総裁への決意を語った。派閥の論理優先に反発する若手は党員・党友の投票を認めるよう署名を提出した。岸田氏と石破茂元幹事長は1日、菅氏は2日に出馬表明する見通し。

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菅官房長官が、「菅総理」誕生を願う、自身に近い無所属議員の有志から、総裁選出馬の要請を受け止めた。有志議員からの訴えに、菅氏は「前向きに検討を進めていく覚悟だ」と述べ、総裁選レース出陣へ向け大きくギアを入れた。

菅氏に近い無所属議員15人は31日夕、坂井学元総務副大臣を先頭に議員会館内にある菅氏の事務所を訪問。面会は非公開だったが、坂井氏によると、菅氏は15人からそれぞれの思いを伝えられ、「出馬の決断」を直訴された。これまで出馬の意向を示してこなかった菅氏だが「力強い、温かい話をいただいた」と、初めて出馬への決意についても踏み込んだという。

菅氏は「安倍政権を7年8カ月支えて来て、自らが総理総裁になるということは頭の片隅にもなかった」と、現在の心境を明かした上で「今回、残念ながら任期1年を残して安倍総理が辞任するということになり、コロナに対する政策パッケージを発表した。これをしっかりと形にしていく責任があることを寝ずに思い悩んだ」と、「安倍後継」としての決意も口にした。

坂井氏は「我々は無派閥で世襲でもない。菅先生も同じ。自民党の歴史で無派閥の総裁はかつてなかったと思う。無派閥の希望の星です」と語った。山本朋広衆院議員は「我々が菅長官を支えてきたのではなく、我々が支えてもらっていた。極めて非力な存在で派閥にも属さず、一匹おおかみ的な我々にいろんなことを教えていただいたり、アドバイスをいただいた」と菅氏の人柄と人望にも触れ、「ご恩返しの機会をください」と懇願したという。

総裁選をめぐって、自民党内はなだれを打ったように菅氏支持が広がっている。各派閥は「勝ち馬」に乗って「菅政権」で主流派を目指そうとしており、党内はすっかり「菅1強」だ。岸田文雄政調会長や石破茂元幹事長が1日に出馬表明を予定する中、菅氏は明日2日、正式に出馬宣言を行う見通しだ。【大上悟】