安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選で派閥が続々と支持を表明したことで、一気に大本命となった菅義偉官房長官(71)が今日2日、出馬表明する。

秋田県雄勝郡秋ノ宮村(現湯沢市)出身で、スポーツ万能少年だった菅氏は小学時代は陸上、相撲などの大会で活躍。中学では軟式野球部で、俊足巧打の「1番三塁」でプレーした。小中高12年をともに過ごした幼なじみの由利昌司さん(71=元雄勝町議、元湯沢市議)が、菅氏との思い出と、知られざる素顔を語った。

由利さんにとって菅氏は「子どものころからずっと一緒にいた」親友だ。放課後は空が暗くなるまで遊び、野球や相撲、こま回しで盛り上がった。親交は今も続き、69歳まで地元町議、市議を計35年務めたことから「政治関係でいろいろ指導してくれた」と良きアドバイザーでもあった。

菅少年は地元・秋ノ宮では有名な運動神経の持ち主だった。秋ノ宮小ではクラブ活動がないものの、各校代表選手が集う陸上、ミニバスケ、ソフトボール、相撲の地区大会、郡大会で活躍した。由利さんは「今の官房長官からは想像できないかもしれないが、足が速くてスポーツ万能だった」と懐かしむ。

野球に例えると、官房長官の職務は「エース投手」の首相を支える女房役の「捕手」の立ち位置といえるが、秋ノ宮中では軟式野球部で三塁が定位置の「機敏なトップバッター」で、切り込み隊長として躍動した。

湯沢高校では帰宅部だった。通学は自宅最寄りの横堀駅までバスを利用し、汽車に乗り湯沢駅まで計50分。さらに学校まで徒歩30分と、順調でも片道1時間半ほど。終バスを逃すと数時間歩き帰宅することになり、部活は泣く泣く断念している。

スポーツも勉強も優秀な「二刀流」で、由利さんは「特別ガリ勉ではなく、よく遊び少し学ぶタイプ。勉強の仕方や要領が良くてポイントをつかむのが上手」。菅氏の父和三郎さんはいちご農家を営んでいたが、当の本人は「家業を継ぐのは俺ではないよ。自分がやりたいことは他にあるはずで上京したい」と常々漏らし、家出に近い形で上京し就職、後に法大に進んだ。

「菅義偉 秋田ふるさと後援会」幹事長を務める由利さんは、「横浜市会議員、衆院議員、総務大臣、官房長官と歴任し、前々から首相就任を期待していた1人です」と話す。昨年5月、新元号「令和」発表時には「令和おじさん」と注目された。「だいぶ人気も出てきたよな。『次の総理』の声もあるし」と直球質問をぶつけると、「何だよ。おまえまで。そんなこと考えてないよ」と否定したという。そんな菅氏が「ポスト安倍」へ出馬表明する。由利さんは「秋田出身の総理はいないので、官房長官が初の総理になってくれたらうれしい」と期待を寄せる。【山田愛斗】