磁気ネックレスなどの預託商法で高齢者らから計約2100億円をだまし取ったとみられる「ジャパンライフ」(破綻)の元会長・山口隆祥容疑者(78)ら計14人が18日、詐欺の疑いで逮捕された。山口容疑者は15年の「桜を見る会」で安倍晋三前首相の推薦枠で招待された疑惑があり、招待状を勧誘に利用したとして国会で追及が続いていた。安倍路線継承を掲げる菅政権はスタートから「負の遺産」に対応することになったが、前政権同様、徹底的にフタをする構えがにじむ。

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資金繰りが悪化し、破綻することが分かっていながら勧誘していたのか、資金の流れや財務状態を固めていかないと立件できず、この手の詐欺事件は捜査に1~2年かかるのが普通だ。昨年2月の合同捜査本部設置から1年7カ月。このくらい時間がかかって不思議ではなく、「桜を見る会」をめぐる国会審議とは全く関係ない。ただ、8月に立件するという観測はあった。しかし、安倍さんが辞意を表明し、辞める人に対して後ろから矢を放つようなことは避けようという判断はあったのだろうと思う。菅首相になって「桜を見る会」はやらないと言明した。安倍さんが残した問題を尾を引かせるわけにいかない。これ以上、延びると、今度は解散・総選挙が間近になる。選挙への影響も避けるため、このタイミングになったのだろうと思う。