11月の米大統領選に向けて、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領と討論会を行い、互いをののしりあう応酬を繰り広げたドナルド・トランプ大統領が、4年前の大統領選で娘で大統領補佐官のイヴァンカ・トランプさん(34)を副大統領にしようと画策していたと報じられた。

米ワシントン・ポスト紙によると、トランプ陣営の顧問だったリック・ゲイツ氏が13日に発売する回顧録「WickedGame」の中でトランプ大統領が「私の副大統領にイヴァンカはどうだ? 彼女は明るく、聡明(そうめい)で、美しく、みんな彼女を愛してくれるだろう」と語っていたことを明かしているという。トランプ陣営は、この報道を「真実ではない。フェイクニュースだ」と否定している。

ゲイツ氏によると、その時部屋にいた誰もが驚いてイヴァンカさんの方を見たといい、イヴァンカさん本人も驚いているようだったという。「トランプのことを分かっていたので、誰も笑わないようにしていた」と語り、最終的には「それは良くない考えよ」とイヴァンカさん本人が否定するまで誰も何も言えなかったと明かしている。

モデルとして活躍した後、父トランプ大統領がCEOを務める不動産会社に入社して不動産開発などを務めた他、ファッションブランドも立ち上げるなどビジネスの手腕を発揮していたイヴァンカさんだが、政治経験は皆無だった。トランプ大統領に溺愛していることが知られるイヴァンカさんは、8月下旬に行われた共和党大会では「大統領の娘であることを誇りに思い、今皆さんの前に立っている。彼がワシントンを変えてきた」と堂々とした演説を行って話題となっていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)