東京・池袋の都道で19年4月19日に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、今年2月に自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で東京地検に在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の初公判(下津健司裁判長)が8日、東京地裁で開かれた。

車いすに乗って104号法廷に入廷した飯塚被告は、証言台の前に進むと立ち上がった。そして、被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(34)と真菜さんの父の上原義教さんの前で「今回の事故により、奥さまとお嬢さまを亡くされた松永様とご親族に心からおわび申し上げます。最愛のおふたりを亡くされた悲しみとご心痛は…思いますと、言葉がございません」と謝罪。さらに負傷者に対しても「また、おけがをされた皆様方、ご親族の皆様方に深くおわびを申し上げます」と謝罪の言葉を口にした。その上で、松永さんと上原さんの方を向き、深々と4秒ほど、頭を下げた。

一方で、起訴状の内容について、ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたとされた部分については「アクセルペダルを踏み続けたことはないと記憶しております。車に何らかの異常が生じたから暴走した」と一部を否認。「止められなかったことが悔やまれ、大変申し訳なく思います」と謝罪の言葉は重ねて口にした。

◆池袋暴走事故 4月19日午後0時25分ごろ、東京都豊島区東池袋4丁目の都道で、乗用車が交差点2つを含む約150メートルにわたって暴走し、赤信号を無視して横断歩道に突っ込んだ。自転車に乗っていた松永さん母子が死亡し、運転していた飯塚元院長と助手席の妻を含め2歳から90代の男女9人が重軽傷を負った。