百貨店がタクシー業界とタッグを組み、新たな新型コロナウイルス対策を打ち出した。松屋銀座(東京・銀座)は「チェッカーキャブ無線協同組合」(44社加盟、約3200台)と提携し、買い物代行サービス「松屋御用聞き」を11月4日から始めることを決めた。

コロナ禍で「おうちごはん」の機会が増え、食材需要が見込まれるが、今後の感染動向では再度の外出自粛の可能性も否定できない。また、百貨店業界は今年3月以降、売り上げが前年同月比20~70%も減少。タクシー業界も同様で、チェッカーは緊急事態宣言中、前年比50%以下、現在も同70%程度の稼働だ。

どちらの業界も厳しい対応を迫られる中、「生鮮品の提供」「空車利用」という互いの利点を生かした新ビジネスだ。

松屋銀座には今年5月の営業再開後、顧客から「品物を送ってほしい」との問い合わせが1日に約30件寄せられたこともある。そこで、タクシーと連携したサービスを検討。今月からタクシーによる食料品などの運送が認められたこともありサービス開始を決めた。

目標は1日10件。対象は東京23区内で、生鮮食料品12店に当日午後1時までに注文すれば、午後3~6時に配達される。クリスマスシーズンはオードブルやスイーツの配送も視野に入れ、来年2月末までに1000万円の売り上げを目指す。配送料金は5キロ2750円(税込み)から。依頼者のタクシー同乗は認められない。チェッカーは、他の百貨店から同様の依頼があった場合も「前向きに検討したい」と、している。

同様の取り組みではJR東日本が8月、東北新幹線の客席を利用して宮城県産の鮮魚類をテストケースで輸送した例もある。【赤塚辰浩】