政令指定都市の大阪市を廃止して4特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が1日、投開票された。僅差で反対が賛成を上回り、大阪市の存続が決まった。15年以来2度目の住民投票で、維新は再度、ノーを突きつけられた。

推進派の大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長(56)は連日、街頭で「二重行政の解消」を訴え、「大阪が東京と並ぶ大都市として世界に認められる、そんな大阪を一緒につくっていきましょう」と呼び掛けた。

反対派の自民党などは都構想による財政悪化の懸念があると主張。「住民サービスが低下し、大阪市民は損をする」と訴えた。

選挙序盤戦、各社の世論調査では賛成派が優勢だったが、終盤戦には反対派の勢いが増した。通常の選挙と異なり、投票日当日も街頭演説が可能なため、1日も各党は市内でマイクを握った。維新は松井氏と、代表代行の吉村洋文大阪府知事(45)が街頭に立つなど、投票締め切りの瞬間まで「最後のお願い」を続けたが、訴えは届かなかった。

 

◆大阪都構想 府知事と市長を務めた橋下徹氏が10年に提唱。政令指定都市の大阪市を廃止して東京23区と同様の特別区に再編する構想。成長戦略など広域行政を大阪府に一元化し、特別区が住民サービスを担う。賛成多数で可決されていれば、大阪市は25年1月1日に廃止され、政令指定都市が廃止されれば1956年の制度創設以来、初めてだった。特別区は「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4特別区への再編案だった。

◆維新 10年4月、大阪府知事だった橋下徹氏が大阪都構想を掲げて地域政党「大阪維新の会」を結成。代表に就任。11年11月、大阪府市トップの「ダブル選」で市長に橋下氏、知事に松井一郎氏が当選。12年9月、橋下氏が国政政党「日本維新の会」を結党。14年6月、分党。15年5月、大阪都構想が住民投票で否決。橋下氏は政界引退を表明。その後、維新の党は分裂。新たな国政政党「おおさか維新の会」を結成。16年8月、国政政党名を再び「日本維新の会」に変更した。