政令指定都市の大阪市を廃止し4特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が1日、投開票され、僅差で反対が賛成を上回り、大阪市の存続が決まった。大阪維新の会代表代行の吉村洋文大阪府知事(45)は、3度目の「大阪都構想挑戦」は否定した。

吉村知事は、大阪維新の会代表、松井一郎大阪市長(56)とともに会見。「都構想が大阪の成長として必要という思いでやってきた。僕自身もツートップでやってきた。力不足だと思う。なので、僕自身が大阪都構想に挑戦することはありません」と3度目の大阪都構想への挑戦を否定した。

続けて「あと任期2年半、まっとうしたい」とし、「都構想再挑戦を僕がすることはありません」と繰り返した。

また、否決なら23年春までの任期満了をもって政界引退を表明していた松井市長は、敗因について「僕の力不足に尽きる」とした。「改革の魂を引き継いでほしい。次の世代に頑張ってもらいたい」と続け、吉村知事にバトンタッチする意向を示した。

大阪維新の会は、橋下徹元大阪市長が創設。前回住民投票で敗れ、政界を退いた後は、松井市長がけん引してきた。その松井市長に対し、吉村知事は「大阪維新の看板だった橋下(徹)さんがいなくなって、『党も終了だ』と言われていた中で、松井代表が引っ張ってこられた」と感謝の思いを口にした。

吉村知事は今後について「今までやってきた府市一体の成長戦略で、いけるところまで頑張らないといけない」と述べた。

 

◆大阪都構想 府知事と市長を務めた橋下徹氏が10年に提唱。政令指定都市の大阪市を廃止して東京23区と同様の特別区に再編する構想。成長戦略など広域行政を大阪府に一元化し、特別区が住民サービスを担う。賛成多数で可決されていれば、大阪市は25年1月1日に廃止され、政令指定都市が廃止されれば1956年の制度創設以来、初めてだった。特別区は「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4特別区への再編案だった。

◆維新 10年4月、大阪府知事だった橋下徹氏が大阪都構想を掲げて地域政党「大阪維新の会」を結成。代表に就任。11年11月、大阪府市トップの「ダブル選」で市長に橋下氏、知事に松井一郎氏が当選。12年9月、橋下氏が国政政党「日本維新の会」を結党。14年6月、分党。15年5月、大阪都構想が住民投票で否決。橋下氏は政界引退を表明。その後、維新の党は分裂。新たな国政政党「おおさか維新の会」を結成。16年8月、国政政党名を再び「日本維新の会」に変更した。