埼玉県警は2日、10月末に埼玉・久喜市の農場からアイガモ約100羽(約30万円相当)が盗まれたと明らかにした。

被害にあったのはアイガモ農法を手がける「アイガモ農園」。経営者の渡辺優さん(68)は「愛着あるカモが盗まれたことは残念」と嘆いた。同農園は創業32年。水田にアイガモのヒナを放し飼いで草や虫を食べさせ、無農薬で生産するアイガモ農法でコシヒカリを栽培してきた。親ガモ約150羽を繁殖させてアイガモ農法に使うヒナを飼育していた。10月31日午前8時に給餌した際に被害を確認し「前日の朝、同じ時間に餌をあげた時は異常はなかった。かなりの数がいなくなっていて驚いた。カモは逃げ出したとしても帰ってくる習性があるので盗難だと思った」。小屋の入り口は引き戸で、獣害対策のつっかえ棒はしていたが、人の手では簡単に開く状態だった。

「過去には動物の被害にあったことはあるんです。タヌキだと1、2羽で済むんですが、ネコだと頭しか食べないので一度に何十羽もやられてしまう」。数度の経験から動物対策は万全ではあったが、人災は想定外だった。「小屋に置いてあったトラクターとか釣り道具とかも盗まれたことがある。当然、戻ってきたことはないですよ」。北関東を中心に、豚などの家畜盗難が相次いでいることに関しても「豚なんか、よく盗むなあと思っていたけれど、まさか自分のカモも盗まれるとは思っていなかった。今年の子ガモたちを育てて、来年もおいしいお米を作ってみなさんに喜んでもらうしかない」と心を痛めていた。【鎌田直秀】