バラク・オバマ氏(59)、ジョージ・W・ブッシュ氏(74)、ビル・クリントン氏(74)の米大統領経験者3人がそろい踏みし、テレビカメラの前で新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種する可能性が浮上している。

米国では米ファイザーとモデルナの米製薬会社2社が食品医療薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請しており、早ければ今月中旬からワクチンの提供が始まる見通しだと伝えられている。FDAの承認後にワクチンの安全性に対する国民の信頼性を高め、接種を促すキャンペーンの一環として、元大統領経験者たちが一役買うことを申し出ていると米CNNなどが伝えている。

オバマ前大統領はラジオ番組のインタビューで「ワクチンを接種するつもりだ。私が科学を信じていると示すため、もしかするとテレビカメラの前でするか、その様子を撮影するかもしれない」と語り、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長がワクチンが安全だと言えばその言葉を信じて接種するとコメント。

ブッシュ元大統領の首席補佐官も「時がくれば、国民にワクチンの接種を呼び掛ける手助けをしたい」とコメントし、安全性が確認されれば喜んでカメラの前で接種すると語っている。

クリントン元大統領の報道官も同様に、保健当局が定める優先順位に従い、自身の接種が可能になればその様子を公開することに同意していることを明かした。

米国では医療従事者や介護施設の入所者ら感染リスクの高い人から順次ワクチンの提供をはじめ、2月末までに基礎疾患のある人や高齢者らを含む重症化リスクがある1億人の接種を目指している。11月に入って感染拡大が止まらない米国では、新型コロナウイルスによる死者数は27万人を超え、感染者数も累計1400人を突破して医療崩壊の危機が叫ばれているものの、依然として42%の国民がワクチンの安全性に懐疑的で提供が始まっても接種しない予定だと言われている。パンデミックの終息には国民の7~8割程度のワクチン接種が不可欠だと専門家は指摘している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)