将棋の羽生善治九段(50)のタイトル通算100期獲得は持ち越しとなった。6日、神奈川県箱根町「ホテル花月園」で行われた第33期竜王戦7番勝負第5局で、豊島将之竜王(30)に敗れて1勝4敗となり、挑戦を退けられた。豊島は8大タイトル戦で初防衛を果たした。

2年ぶりの大舞台は、ほろ苦かった。2018年(平30)の竜王戦では挑戦者の広瀬章人八段に敗れ、27年間獲得し続けたタイトルがなくなり、無冠となった。昨年は王位戦で挑戦者決定戦まで進みながら、木村一基九段に敗れ、タイトルに挑戦することさえできなかった。「課題は山積み」としながらも、今回勝ち上がってきた。2年前に初タイトルとなる棋聖を譲り渡した豊島に、またしても敗れた。盤に向かえば年齢や過去の栄光などまったく関係なく、ただ歴然とした勝ち負けがある世界で、厳しい現実を突きつけられた。

渡辺明名人(36)への挑戦権を争う、10人総当たりのA級順位戦は2勝3敗で、4連勝とトップを走る斎藤慎太郎八段(27)にかなりの差をつけられている。次にタイトル挑戦の可能性があるのは、段位別予選が始まった叡王戦、挑戦者決定リーグに残留している王位戦、王将戦あたりか。早くて来年6~7月ごろになる。

今回、自らが持つ竜王戦の挑戦者最高齢記録を塗り替えた。将棋界では、故大山康晴十五世名人が90年の第15期棋王戦に66歳の最高齢で登場した例もある。現在は18歳の藤井聡太2冠から、50代までがタイトル争いの先行集団として戦いを繰り広げている。その中で、羽生がまだまだ注目の1人であることは間違いない。