コロナ禍で飲食業界の危機的状況が続く中、「ミシュランガイド東京2021」の掲載店が7日、発表された。

事務局によると、4月7日の7都府県への緊急事態宣言から5月25日に解除されるまで、覆面調査も完全にストップする初の事態になった。

東京はそれでも調整の末、すべての調査を終えることができたが、他地区では5月15日に出版予定だった「ミシュランガイド新潟」が、2カ月発行を延期。10月9日発売の「ミシュランガイド京都・大阪+岡山」は調査期間中、閉店が続く店が出たため、昨年の「星」の数を据え置く特別措置を取った店が2軒あったという。

日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ社長は、オンライン会見で「飲食業や観光業に携わる人にとって非常に困難な1年になった。お薦めの店を紹介することが業界に貢献する最善の方法と考えた。ミシュランガイドが素晴らしい食事や旅のきっかけになれば」と話し、本城征二執行役員は「調査発表活動を続けることが飲食店、観光業界へのエールと考えている」と答えた。

感染拡大防止対策は評価対象ではなく、基準はあくまで料理。取り巻く環境が大きく変化しても、めげることなく向上心を見せるシェフやスタッフに調査員は感銘を受けていたという。

今年、3つ星(そのために旅行する価値のある卓越した料理)に選ばれたのは12店。広尾の中国料理店「茶禅華(さぜんか)」が中国料理として初めて3つ星を得た。08年の発刊以来、14年連続で3つ星を獲得したのは元麻布の日本料理「かんだ」、北品川のフランス料理「カンテサンス」、恵比寿のフランス料理「ジョエル・ロブション」の3店。

2つ星(遠回りしてでも行く価値のある素晴らしい料理)は42店、1つ星(近くに訪れたら行く価値のある優れた料理)は158店、ビブグルマン(価格以上の満足感が得られる料理)は234店。計446店で初登場は43店だった。ビブグルマンに東北沢のモロッコ料理店「エンリケ・マルエコス」が掲載され、料理のジャンルは38種に。ガイドは10日発売。【中嶋文明】