日刊スポーツでは「パワーアップ2021 上向きニュース21選」と題した企画で、気持ちが高まるパワーアイテム、ワード、スポットなどを紹介しています。第4回は「カラダ想いのきりたんぽ」(3本入り、税込み705円)。おいしさで気分もパワーも上がる一方、血糖値が上がるのは抑制する。

米どころ秋田県を代表する郷土料理きりたんぽ。健康も追求した新しい逸品が誕生した。本来は、あきたこまちなどを使用するため、血糖値が上がりやすい。だが、イネのでんぷんを研究している秋田県立大生物資源科学部生物生産科学科の教授や学生、地元企業らで協力して開発した高レジスタントスターチ米「まんぷくすらり」を使用。食物繊維と似た働きを持ち、食後の血糖値上昇を抑制する効果もあるレジスタントスターチ含有量は、あきたこまちの約10倍だ。

発売元のスターチテック取締役で同大の藤田直子教授は「イネの変異体から生まれた。レジスタントスターチは血糖値上昇抑制だけでなく、整腸作用もあると言われている。食物繊維のように便秘改善や免疫改善によるアトピーや花粉症を抑える効果もあるかも」。さらに重ねていく今後の研究にも期待される。

「まんぷくすらり」は通常米より炊飯時に固さが残るため、白ご飯には適していない。きりたんぽの製造工程で、米をすりつぶす「半殺し」時に粒が残ってしまうなど悪戦苦闘することもあった。米粉にして水を加えて加熱し、あきたこまちと半々で配合することで、味も軟らかさも遜色なく完成した。「満腹感も得られますし、おいしさもかわらない。ぜひ県外の方にも召し上がってほしい」と話す自信作だ。

秋田県は高齢化や人口流出が進む。米依存率が高いにもかかわらず稲作従事者も減少傾向にある。「これからは加工用米や工業利用など、米の使用用途を広げていければ良い。米はご飯として食べるだけじゃないという農業の革命を起こしたい」と同教授。「きりたんぽ」は今月27日から、スターチテック通販サイトや、秋田県立大キャンパス売店等で販売されている。秋田美人を生む「ご当地グルメ」で、おなかも健康も満たされよう。【鎌田直秀】

◆レジスタントスターチ 小腸内で消化されず、大腸まで届く、でんぷんの総称。難消化性でんぷんとも呼ばれる。腸内細菌を活性化させ、便秘改善、血中コレステロールや中性脂肪の減少、血糖値上昇抑制の効果も期待されている。豆類、イモ類などにも多く含まれている。