東京五輪・パラリンピック組織委員会の新たな会長候補として一本化された橋本聖子五輪相(56)には、菅政権内でも期待の声がある。菅義偉首相は森喜朗前会長の後任に「女性」「若い人」が適任との考えを示していた。菅内閣の閣僚で、東京大会成功に強い意欲を持つ首相の立場も理解しており「今後の意思疎通もスムーズ。首相の信頼も厚い」(自民党関係者)という。

一方で、橋本氏はスポーツ界、政界ににらみをきかせてきた森氏に近く、前任者の影を排除できるかが問われる。「女性」「若い」などの首相の理想像を満たし、後任人事に露骨な「官邸のご意向」がはたらいたとの批判も出かねない。

仮に橋本氏が後任に決まっても、新たな難題が浮上する。政府代表として東京都との調整にも当たる五輪相を橋本氏は辞任する必要があり、後任候補には歴代五輪相の名前が挙がる。中でも有力視される丸川珠代参院議員(50)は、小池百合子知事(68)との関係が悪い。16年都知事選で小池氏と別の自民候補を応援した丸川氏。五輪相時代も、因縁の仲である小池氏との間はぎくしゃくしていた。丸川氏が後任なら小池氏との関係修復が課題で、永田町関係者は「こちらの後任選びも難航するのではないか」と指摘する。【中山知子】