将棋の最年少2冠、藤井聡太王位・棋聖(18)が本年度最後の対局を白星で飾った。

23日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第34期竜王戦予選2組準決勝で松尾歩八段(40)を下した。夕食休憩明け、積極的に踏み込んできた松尾に対し、AIが示した最善手先手4一銀(57手目)のタダ捨てから寄せの構図を描く。「最後まできわどい将棋だった」と終局後には語ったが、しっかり読み切って松尾を攻略した。

この勝利で1組昇級を決め、豊島将之竜王(30)への挑戦権獲得を目指す決勝トーナメント進出を果たした。「決勝トーナメントで結果を残せていない。今年こそはとの思いがある。その前に2組決勝に全力を尽くしたい」と話した。

藤井はデビュー1年目、2017年の第30期に最下級の6組を制して以来、毎年1組ずつランクを上げては優勝してきた。しかも予選は負け知らずの23連勝だ。竜王戦最短の5年でストレート昇級例は、1~5期の佐藤康光九段、8~12期の鈴木大介九段、15~19期の橋本崇載八段、21~25期の佐藤天彦九段(段位はいずれも現在)。藤井が5例目だ。ただし、6~2組まで連続優勝での昇級例はない。もう一方の準決勝、渡辺明名人(棋王・王将=36)対八代弥七段(27)の勝者との対局で、史上初の快挙に挑戦する。

また、この勝利で本年度44勝8敗、勝率8割4分6厘と、勝数と勝率でトップが確定。タイトルも2つ獲得した。「充実した1年だった。結果を出せたのは自信になる」。

来年度、順位戦はB級1組に昇級する。夏場には棋聖戦、王位戦と連続で防衛戦がある。今年1月末に高校を自主退学し、将棋に専念する覚悟も決めた。「良い内容の将棋が指せるように、実力を高めていければ」。藤井は、自らに言い聞かせるように抱負を口にした。   【赤塚辰浩】