新型コロナウイルス感染拡大による3度目の緊急事態宣言は25日、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で発令される。今回は商業施設や遊技施設など多岐にわたって休業要請。都内の百貨店などは大型連休をターゲットにした催事も打ち切りを余儀なくされるため、24日は対応に追われた。今回は5月11日までの短期集中を国や東京都は強調している。一方、自粛を見据えた駆け込みでの外出や会食も目立ち、各所で人の流れが急増していた。

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休業要請を受けた百貨店。大型連休に向けて、少しでも癒やしや安らぎを与えようと企画された催事。つかの間の外出を楽しみにしていた国民、都民。すべてが緊急事態宣言を前日に控えて、準備に大忙しとなった1日だった。

今回の対象に加えられた「1000平方メートル超の大型商業施設」。都内の主要百貨店は軒並み該当。対象除外の「生活必需品」と認められた地下の食料品店街を除く、ほとんどのフロアで臨時休業する予定だ。

東京の松坂屋上野店では全57店舗が集結した「初夏の北海道物産展」を21日から開催中だ。同店は集客での密状態を避けてきており、約1年4カ月ぶりの実施。利尻島の行列ラーメン店「味楽」や、カニやホタテなど豪華海鮮丼の「鮨 龍儀」など百貨店出店では貴重な目玉もあった。

だが、来月5日の終了を待たずに、わずか4日間で打ち切り。この日は開店時から長蛇の列。一時は6階催事場から1階まで約150人がつながった。会場の密を避けるために10人ずつ入場される制限措置。列も階段部分を使い、なるべく間隔を空けるよう社員総出で対処した。

出店側も仕入れ量を減らす連絡を各所に。特に生鮮食品を扱う店は、発注を止めることが出来なかった店舗も多い。ただ、大盛況で予定より売れ行き増が不幸中の幸い。希望者には今日以降「デパチカ」での販売も調整している。大量入荷の商品だけでなく、イベントのために雇用した社員の給料減や、ホテルのキャンセル料なども悩みの種だ。買い物に訪れた60代夫婦は「本当は月曜日の空いている時に来ようと思っていたが、急きょ来た。最近は旅行に行けないので、せめて食だけでも北海道気分を味わえるのでありがたい」と感謝していた。

西武池袋本店でも「全国味の逸品会」「スヌーピー タイムカプセル展」などの好評催事を中止。東武百貨店池袋店では全国24社の鉄道会社の協力を得てこの日から始まった「鉄道グッズフェア」を1日で終了せざるを得ない状況となった。上野・アメ横の生鮮食品店の店主も「オレたちは市場が休みになってしまうから営業出来ない。今日は売り尽くし。安くしちゃう」。名物のだみ声に、さらなる拍車がかかった。【鎌田直秀】

○…都内は駆け込み需要と供給で密、密、密だった。銀座、渋谷、新宿、上野、池袋など、主要駅周辺のショッピングエリアを中心に、多くの人があふれた。国や都が「人の流れを抑制することが最重要」と言う対策に反比例する形となった。飲食店も昼飲み客で満席が相次いでいた。上野の飲み屋街では、店内外でマスクを外したまま飲食する客も多数。友人に婚約者を紹介するために集まった30代男性は「小池知事、ごめんなさい。明日からはステイホームするので、今日だけは楽しく飲ませてください」と仲間4人で乾杯していた。