公職選挙法違反(買収)で有罪判決が確定した河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効に伴う参院広島選挙区再選挙は25日投開票され、自民党公認の元経済産業省課長補佐の西田英範氏(39=公明推薦)は野党の統一候補、フリーアナウンサーの宮口治子氏(45=立憲民主、国民民主、社民推薦)との事実上の与野党対決に敗れた。

西田氏とともに支援者が集まる広島市内のホテルに現れた自民党の岸田文雄前政調会長(衆院広島1区)は「広島県連会長として結果を残せず、申し訳ない」と敗戦の弁。

広島は17年衆院選の7選挙区のうち6選挙区を占める「自民党王国」。「政治とカネ」の不信感は深刻で、街頭演説での有権者の反応は冷ややかだった。

前回選挙では、岸田氏らが反対したが、自民党本部が案里氏擁立を強行し、広島県連支援の現職が落選する「仁義なき戦い」の遺恨もあった。

西田氏の出陣式で岸田氏は「今度こそ間違いのない人間を代表に選ばなければならない!」と熱弁をふるった。選挙期間中は、選挙カーに乗り込み、陣頭指揮をとった。まさにリベンジマッチだった。

昨年の党総裁選で菅首相に惨敗。次期総裁選をにらむが岸田氏には、今回の地元での選挙は負けられない戦いだった。背水の陣を敷いたが、手痛い敗北。菅政権発足後初の国政選挙となる3選挙のうち、北海道補選は「不戦敗」、参院長野選挙区は敗北、広島再選挙はまさかの敗戦。「選挙3敗」は菅政権に大きなダメージを与えたが、崖っぷちの岸田氏もさらに追い込まれた。

陣営の選対本部長を務めた自民党の宮沢洋一参院議員は「最後の最後まで河井夫婦にたたられた」と本音を漏らした。岸田氏の今後について、広島の自民党県議の1人は「もう首相の芽はなくなるかもしれない…」とつぶやいた。