東京都町田市の玉川学園は、玉川大大学院から幼稚部まで有し、キャンパスは約61万平方メートルにおよぶ。

26日、同学園広報は「面積は学生には東京ディズニーランドの1・2倍くらいと説明しています」。行政区も、25日から新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が発令された町田市、まん延防止等重点措置中の神奈川県横浜市、川崎市の3都市にまたがっている。キャンパス内には境界線の3市分岐点も明確に示され、面積比は約7対2対1だ。

「コロナだけではなく、東京都や町田市の行政に従う形で対応しています」と同広報。今回、小池百合子都知事が「都県境を越える移動はしないで」「東京には来ないで」と人の流れ抑制を厳しく呼びかけている。だが、物理上、キャンパス内の都県境またぎは仕方がない。「朝に町田市の正門から入って、午前中は横浜市のグラウンドや体育館で体育の授業。そして町田市に戻って午後の授業を受けて、さらに川崎市の農場に行くような学生もいますので…」。

そのぶん、幼小中高生の活動時間帯をずらしたり、オンライン授業を増やすなどの工夫も凝らし、大学生との接触を限りなく少なくする対策も実行している。都県境を抱える困惑もありながら「なるべく移動は少なく」。横浜に校舎がある中高は、町田市側に、ほぼ入ることなく活動を完結出来る体制もある。

大学は4月から可能な限り対面授業を進めてきたが、急きょ約3割をオンライン授業に切り替えた。1年前から食堂なども距離を確保するなど、基本的なコロナ対策を継続中。広大な3都市またぎの「3密」防止に日々努力を重ねる。【鎌田直秀】

◆学法法人玉川学園 1929年(昭4)創立の私立。当時は教職員18人と生徒111人。玉川大は文学部、農学部、工学部、経営学部、教育学部、芸術学部、リベラルアーツ学部、観光学部の8学部17学科。1年生は音楽が必修科目で、毎年12月にベートーベン「交響曲第9番」をドイツ語で歌う音楽祭を開催。幼稚園から高校まで(12年生)を1つの学校と捉えた「K-12一貫教育」を展開。主な卒業生は、林家木久蔵、薬師丸ひろ子、三浦りさ子、藤田朋子。所在地は東京都町田市玉川学園6の1の1。小田急線玉川学園駅下車徒歩3分。学園長は小原芳明氏。