東京都武蔵野市は4日、東京五輪・パラリンピック期間中に都が都立井の頭恩賜公園内に設置予定の大規模パブリックビューイング(PV)会場「東京2020ライブサイト」について、新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、中止を求める要望書を都に提出した。

小池百合子都知事にあてた要望書は松下玲子市長名で、「大会開始時は、ようやくワクチン接種を希望する高齢者への接種完了が近づく段階であり、依然として感染拡大防止に向けた取り組みが必要な状況。同公園は吉祥寺駅からも近く、多くの人が集まることに懸念の声が数多く当市に届いている」と指摘。「新規感染者数、重症者数の状況等に鑑み中止すること」を要請した。その上で「実施するのであれば、感染状況の推移などを見極め、来場者数の制限や場内での感染症対策について事前に示した上で万全を期すこと」や、同市への情報提供も求めている。

松下氏はツイッターにも「ライブサイトは中止すべきです。開催中止を求める声が武蔵野市に多数届いています」「コロナ禍で不特定多数が集まる、大規模なスポーツ観戦イベントを開催すべきではありません。例え準備を行い、楽しみにしていたとしても開催できないと認めざるを得ません」などと投稿した。

小池氏はこの日の会見でPV計画について「新型コロナの状況、大会の観客がどうなるのか、国内の他のイベントの状況などを踏まえ、組織委員会のガイドラインを踏まえての準備、調整になる」「いろんな考え方があると思う。ガイドラインに従って、事前予約などいろんな方法で工夫をしている。それらを含めて考えていく」などと説明していた。

都の「東京2020ライブサイト」計画は、組織委と共催で、都立代々木公園と井の頭公園に大規模なPV会場を設置。公式グッズ販売、飲食などのブースを設け、ステージイベントの実施も予定し、東北や熊本など被災地でも計画。都としてはほかに都立日比谷公園など都内4カ所でもPVを予定している。当初計画では、井の頭公園では1日2万人の来場を想定していた。市民に密を避けることや不要不急の外出自粛などを求める一方で、五輪関係では人を集める場をつくり人流を増やすことに対して、批判が噴出している。

うち代々木公園内の会場についてはワクチン接種会場に転用し、同所での五輪期間中のPVは中止すると発表したが、パラリンピック期間中については、引き続き接種会場とするかPVを実施するか、状況をみながら判断する姿勢。1日からは工事も行われている。井の頭公園などほかの会場では両大会期間とも実施予定で、反発が続いている。