将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖(王位=18)が現役最強とされる渡辺明名人(棋王・王将=37)の挑戦を受ける、「第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局」が18日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われ、先手の藤井が171手で渡辺を破り、2連勝で史上最年少防衛と史上最年少九段に王手をかけた。第3局は7月3日、静岡県沼津市「沼津御用邸東付属邸第1学問所」で行われる。

   ◇   ◇   ◇

終盤に入り、藤井の持ち時間は残り5分。一方の渡辺は残り40分。ここから藤井が最善手を連発。一気に形勢を逆転させた。現役最強と言われる渡辺が、何度も首をかしげ、扇子をあおぐ。最後は持ち前の終盤力で大熱戦を制した。

大舞台でも真っ向勝負を挑んだ。先手番の藤井が選んだのは第1局と同じ飛車先の歩を突き合う相掛かり。序盤に交換した角を5六角と「筋違い角」を放った。終局後、藤井は「あまり類型がない形の将棋でバランスを取るのが難しかった。そこが課題だったかなと思います」と振り返った。 序盤から激しく駒がぶつかった第1局とは異なり、中盤戦はじりじりした「神経戦」が繰り広げられた。持ち時間各4時間。藤井は中盤に入るまで3時間以上、惜しみなく時間を使った。一時は渡辺との持ち時間で1時間以上の差が開く。“魔王”と呼ばれる渡辺の巧みな戦術を駆使し、ミスを引き出す「時間攻め」にも屈しなかった。

将棋界では「タイトルは防衛して1人前」と言われている。勢いのある挑戦者をはね返す必要があるため、タイトルの防衛は容易ではない。初防衛戦はさらにハードルが上がるが、現役最強の挑戦者をねじ伏せ、一気に王手をかけた。第3局に「スコアのことは意識せず、同様に向かえたらと思います」。18歳11カ月での九段昇段は、渡辺の21歳7カ月を抜いて史上最年少記録となる。史上初の「10代九段」、最年少タイトル防衛まで、あと1勝だ。【松浦隆司】