東京都議選(7月4日投開票)は中盤戦に差し掛かり、江戸川区(定数5)では、8人の候補の過酷な仁義なき戦いが繰り広げられている。

前回小池百合子都知事が率いた都民ファーストの会の発足メンバーで、当選3カ月後に離党した現職上田令子氏(56)は今回、無所属で出馬する。前回とは一転、「小池都政の傲慢(ごうまん)経営を許すことができない」と激しく批判し“反小池”の旗印を鮮明にしている。

その都民ファからは現職田之上郁子氏(51)が出馬。頼みの小池氏が静養中で厳しい状況だが、田之上氏は元民進党。夫は元同僚で立憲民主党の西沢圭太氏(41=中野区)だ。江戸川区で新人候補を立てた立憲民主党の支持層にも近く、浸透したい考えだ。都民ファ関係者は「立民は一枚岩ではない。もともとの付き合いがある方をできるだけ持ってきたい」と話す。

立憲民主党の新人はインド出身のよぎ氏(44)。日本に住み約20年。19年の区議選で初当選し、インド出身者で初めて議員となった話題候補だ。よぎ氏は区議選時の立民候補の総得票を前提に情勢を読むが、党関係者は「立憲の基礎票が固めきれていない」。党は、よぎ氏の前に田之上氏にオファーを出していた時期もあるほど田之上氏は党支持層の間でも依然存在感がある。よぎ氏は党支持層を固めた上で、浮動票をどこまでつかめるかが勝負だ。

江戸川区に住むインド人は都内最多の5000人以上だが、国籍取得などで選挙権を持つ人はわずか。よぎ氏は「うわさはいろいろ聞くけど関係ない。ぶっちゃけトップを目指している」と精力的だ。

自民党は5期目を目指す現職宇田川聡史氏(56)と新人の大西洋平氏(43)を擁立。前回都民ファに奪われた形の2議席目奪還を狙う。公明党は63年都議選から毎回、共産党は85年から09年を除いて毎回、それぞれ1議席を守ってきた。自民関係者は「自(宇田川氏)、公、共の3議席は堅い」とし、現状なら「4議席目を田之上、5議席目を上田が順当か。そこに大西、よぎが競る」とみる。日本維新の会からは新人丸山玲子氏(68)が出馬。激しい競り合いが続いている。【沢田直人】