東京五輪開幕を迎えた4連休。緊急事態宣言発令中の東京だが、地方への飛行機、電車、高速道路も渋滞や混雑が目立っている。「五輪疎開」の影響もあるのか。本来は国内外から大挙押し寄せる関係者や観戦者、観光客などで混雑が予想される東京を離れて、国内外に旅行したり地方に帰省したりすることを表す言葉だった。自宅を五輪期間中に賃貸する予定だった人もいる。だが、海外からの観客を不可にするなど来日人数が大幅減。コロナの中での「疎開」に賛否両論だ。

24日、羽田空港には親子4人の姿があった。40代男性は「来週の平日は少し早い夏休みをとった。子どもたちも、長い間出掛けていない。旅行というわけにもいかないご時世。都内は五輪開催で人の動きも増えているので、久しぶりに実家の東北への帰省を決断しました」。自身は普段の電車通勤も考慮し、念のためにPCR検査を受けた。勤務先も8月22日までの宣言下は、有給取得やテレワークを推奨していると言う。

SNSなどでもコメントが多数寄せられている。「オリンピックが開かれる東京から脱出します」「決行します。もちろん感染拡大につながる行為は徹底的に避けます」の声がある一方、「我慢の限界を正当化してゾンビ(感染者)を各地に放出しているような感じ」「予防接種出来ていません。地方には来ないでください」の反論もある。

都内では中野区在住の30代女性が長男と友人の娘を連れて都庁へ。「近所だし、休日なら人が少ないかと。モニュメントやマスコットもあって少し五輪気分も味わえました」。自転車で都庁や国立競技場を巡る親子もおり、工夫を凝らしたプチ旅行だ。本来は外出自粛すべきことは理解しているが、五輪開催や、コロナに関する考え方も多様化している。【鎌田直秀】