東京五輪の男子陸上3000メートル障害で日本勢49年ぶりに決勝進出し、日本人初となる7位入賞の三浦龍司(19)が通う順大近くの「焼肉レストラン川崎苑」(千葉県印西市)では、店主やおかみらがテレビの前で声援を送った。おかみは「三浦くんには力をもらっている。どうしても声も出してしまいます。とても礼儀正しくて、頭が切れる子ですね。気配り、目配りも出来る」。人間的な部分を、第一に絶賛した。強豪アフリカ勢と互角に渡り合い「入学した頃は、まさか世界のトップと戦うとは思わなかったのですが、世界に通じるすごい選手になったことは、普段の性格や態度がすばらしいからだと思っています」と拍手を送った。

象徴的だったのは、同店で目にした三浦の姿勢だった。かつて日本陸上競技連盟や日本体育協会(現日本スポーツ協会)の幹部を務めた順大名誉教授の帖佐寛章氏(91)との交流会。陸上部の監督、選手らが集う中で、「自分が食べるのではなく、先生に肉を焼き、取り分け、お皿が空けば店の厨房へと持って行く。最近の学生では、なかなか出来ていない行動でした」。目上の人、先輩、後輩、すべての人に敬意を表す三浦だからこその成長、偉業であることを強調した。

「学生ですから、頻繁に来て食べられるわけじゃないですよ」とほほ笑む。陸上部では正月の箱根駅伝前後や、大会などの決起やご褒美に団体で訪れることが多い。タン塩やロースなどの肉はもちろん、三浦はチョレギサラダが好きだと言う。「来た時は、ご飯は漫画みたいな大盛りにするんです」。愛情たっぷりな“順大の母”の感動も大盛りだった。【鎌田直秀】